2018年7月6日金曜日

ドラグの味付け,性能 | 滑り出し値と動的瞬間最大値を理解する

どうもです.



書く書くといって,なかなか掛けなかったドラグシリーズ.
一気にまとめようとするから難しくなる.

ということで,今回はまずシンプルに現象の紹介をしたいと思います.
現象ということはそれがどういうメカニズム,バックグラウンドを基に起こっているかは理解できなくとも,とりあえず,そういう現象が起こる.ということだけは簡単に理解が出来ます.

なので,「事実」として,このような現象があることを知ってほしいと思います.

今日ご紹介する内容は,ドラグの滑り出し値(静的値)と動的瞬間最大値 についてです.

私がドラグ設定を公開するときには,だいたい,滑り出しで○kgと書いていると思います.※書いてないときもあると思いますが.

この滑り出しの値と,実際,ドラグが動いている時の値が違うという話です.

物理を考えれば,当然,動的な摩擦力と静的な摩擦力は違うということは皆さんご存知でしょう.

で,この値が,実際に,どれぐらい違うの?という話.

とりあえず,こういう実験を行います.

①ドラグチェッカーを使って,滑り出しドラグをチェッカー読みで7kgに設定する.
②ドラグチェッカーを付けたまま,糸をどこかに固定して,勢いよく引っ張り,ドラグを作動させて,その値を読む.

※かなり高速で動作させてます.人間が引っ張って限界に速いぐらい.
※ドラグチェッカーには誤差がありますから,そこは考慮する必要あります.あくまでドラグチェッカー読みでのkgを表示します.

私の手持ちのリールでいくつか試験をしてみます.

①11オシアジガー2001HGの場合
②アキュレートBX2-600NNの場合

こんな感じの結果になりました.

オシアジガー2001HG
7kg→8.75kg
アキュレートBX2-600NN
7.25kg→10.25kg

というふうに,7kgだったドラグが,高速でドラグが動いている間は7kgよりも強い力が掛かっているんです.

まず,これを踏まえたドラグセッティングが非常に重要で,自分のリールのドラグ値上昇がどれぐらいの速度ならどの程度起こるのかを把握することは非常に重要です.また,上昇幅も滑り出しドラグ値によっても変わってきますので,自分が使う範囲のドラグ値でどれぐらいの上昇があるのかを知っておくことは重要です.

ドラグ値は瞬間最大値がシステム強度を下回るように設定しないと,ラインブレイクをしてしまうので,気をつけて下さい.システム強度10kgでドラグ9kg設定とかして切られている人もたまに見ます・・・・.自分のシステム強度,スタイルに合わせたドラグ設定は重要だと思います.

味付けとしてどういうドラグがよいのか?

高速で動作しているときとゆっくり動作しているときでラインに掛かってる力が変わるということは理解できたと思います.

どういう味付けのドラグが良いのか?というのはスタイルによります.

オシアジガーのように高速で動作しているときとゆっくり動作しているときの力の大きさの差が小さいやつは滑り出しを限界まで高く出来るという利点はありますが,実際に滑り出すと,一定の力で出てしまうので,ドラグがジャッジャッジャッとしゃくります.
これはドラグが高速で作動できてしまうので,ラインの伸びによる弾性力を瞬間的に緩和してしまって,テンションが緩むからだと思います.
要はドラグ作動時の力の緩和スピードが早すぎるためにおこります.
そうすると,魚にとってみれば,力が加わったり加わらなかったりします.不用意に暴れたり,反転するスキができやすかったり,フッキングポイントが開きやすかったりするような感覚があります.
なので,熟練者はオシアジガーの場合は指ドラグを上手く使っていなします.

一方でアキュレートは高速で動作しているときとゆっくり動作しているときの差が大きいです.といっても,カンパチやマハタの場合は,実験でやるよりも走るスピードは遅めなので,ここまでの力の上昇はありません.
一見,ダメのように見えますが,実際使ってみると,オシアジガーよりもこちらのほうがドラグがスムーズに動作しているように感じます.
それは先のべたドラグが滑ることで起こる力の緩和がゆるやかに起こるからです.そのメカニズムについて説明しだすと,長くなるので,ドラグ値が速度に依存して結構上がる!=ダメということではないと理解いただければと思います.
そういう味付けが嫌いな人も居ると思います.
色々なスタイルがありますから,自分に合わせたドラグの味付け,あるいはドラグの味付けに応じたスタイル.これを確立していくことが重要かなと思います.

ココで紹介しているリールはすべてカーボンワッシャーのドラグですが,コルクのものはその上昇幅がさらに大きいように思います.なので,滑り出しはちょっとだけゆるめに設定しないといけないように感じます.
すべりだしがゆるいということは,実は巻く時にドラグが滑るということで,これが原因で,コルクプレートのドラグをもつリールを使う人達は親指でのサミングを駆使してポンピングしたりしているのだと思っています.
ある意味で,よく自分のリールを理解されているなと思っています.

どらぐらいの速度で動作したらどれぐらいの力の上昇があるか?というドラグ値の速度依存性も重要で,今回は,極端に遅い場合と速い場合しか紹介していませんが,これだけで味付けをすべて議論するのは不可能です.

ご興味あられましたら色々な速度で自分のリールのドラグを動作させてみて,どれぐらいの力が掛かってるのかを測定し,考えてみて下さい.面白いですよ.

あと,この味付けはドラググリスの種類や塗布量でもこの値は変わってきます.自分の好きな感じの味付けを探すのもまた面白いです.

ドラグの特性についてはもっと詳しい理解が必要だとは思いますが,とりあえずは,すべり出しの値と高速でドラグが滑ってるときの値が違う!ということを分かってもらって,自分のリールでどれ位のドラグ値の上昇があるのか?をきちんと知った上で,ドラグセッティングをしたほうが良いというのを分かっていただければいいかなというのが趣旨です.

狙う魚種によって,走るスピードも様々であり,一様に,これぐらいにしておけば大丈夫!という決まった値はありません.ドラグセッティング1つにしても根拠のあるセッティングをしたいものです.

でわ.




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