ラベル 論文等 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 論文等 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年2月2日金曜日

アカムツに関する文献を幾つか紹介.水温,分布,色々

どうもです.

今週は週初めにカヤックでのアカムツ釣行記を更新したことからアカムツ週間とします.

今日はアカムツに関する文献で,面白いなと思ったものをいくつか紹介したいと思います.
鹿児島県のものに限らないので,必ず鹿児島に当てはまるか?を言われるとそうではないかもしれませんが,あくまで一情報としてご覧いただければ幸いです.

まず.

アカムツの生息場水温と分布移動

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/211463.pdf

これは福島水産試験場の報告になります.
まず福島沖でもアカムツは漁獲されるんですねー.
こちらからは遠いので,全く認識してませんでした.
上は青森までは釣れるということは知っているので,青森までならどこにでも居るんだろうなと思います.
で,この文献では,生息場の水温について考察がなされていました.
ちなみにトロールでの調査です.
塩屋崎沖の175m前後で結構漁獲があるようです.
そして,アカムツの生息場の水温は6℃〜16℃.特に12℃前後に多い.
と報告されています.
鹿児島近海なら200mでようやく15℃ぐらい.400mでも9℃〜10℃ですから,いろんな水深に居そうですね.


東支那海大陸棚斜面域のアカムツ

http://kagoshima.suigi.jp/ushio/book/h05/257.pdf

これは鹿児島県の報告です.
鹿児島県が東シナ海大陸棚において延縄で調査をしていたのはこの前のブログにも書いたところですが,この報告では以下の興味深い記述があります.
"中原(1969)によると,アカムツの生殖は雄が3才,雌は4才から参加し,産卵期は7~9月で盛期は8月である。また,捕食率は42%で,一般的に比較的移動力のある魚類や大型甲殻類を多く食している。"
”生殖腺指数の変化をみると,7月は小さく,(8月は欠測),9月上旬が最も高く,10月中旬まで高い状態が続き,11月には小さいので,9~1O月が産卵期であろう。”

”胃内容は空胃が多く,72%を占め,胃反転(胃袋が口から飛び出したもの)11%で捕食率は17%であった。捕食の内容はエビやアミ等の甲殻類が8%,魚類が5%,餌3%,イカ1%の順であった。”
あくまで東シナ海の斜面部での話しですが,産卵期と,捕食物の内容が書かれてあります.
ちなみ,ご存じの方も多いと思いますが,アカムツはオスが小さく,メスがデカイです.そのことも書いてあります.
また,よく採れた水深は250m〜300mとのこと.そして,薩南海域より東シナ海海域のほうがデカイ魚がいるということも書いてあります.あくまで調査なので,薩南海域で大きいのが溜まってるところもあるんじゃないかなと私は予想しています.


新潟県沿岸域におけるアカムツの年齢と成長及び産卵期

http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010811622.pdf

新潟県の例になります.
アカムツの年齢と成長曲線について書いてあります.
8770匹を調べた結果です.
この報告によると,新潟県沿岸部でアカムツの産卵期は9月.

成長曲線を基にして推定した年齢とアカムツの大きさの関係は図の通り.


標本の最大が47cmだったことから,これぐらいの年齢までしかないですが,成長は比較的ゆっくりだけど,カサゴほど遅い魚ではないということが分かります.

アカムツがキロアップになるには最低でも5年,アベレージで8年〜9年ぐらいはかかるのかなぁと思ってます.

鹿児島でキロアップなんかめったに釣れないですが,居るには居るという話を聞いているので,いつか釣ってみたいですね.
ちょっとだけ場所が違うんじゃないかと思ってます.

今日はこのへんで.

でわ.


2017年12月6日水曜日

アカムツ(ノドグロ)の旬を脂肪量から明らかにする

どうもです.
最近,中深海ネタが多いので,アカムツ(ノドグロ)脂のりについて興味深い研究結果があったので,ご紹介します.

魚って「旬」があるものですよね.


「旬」というのは,いっぱい取れるから旬ということもありますし,美味しい時期だから旬ということもあり,なかなか一意に定義が定まっていないようにも思います.

では,アカムツの旬は?といわれると,どうでしょうか?
基本的に,釣り特にジギングでたくさん取れるのは夏の産卵前の時期だと思います.
なので,ジギングにおいては旬と言えるかもしれません.

では,脂ノリはどうでしょうか?

こんな研究結果があります.

島根県周辺海域で漁獲されたアカムツ総脂質含有量の季節変動と個体差

http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/suisan/shinkou/suigi/publish/kenkyuhou/014/index.data/01_03.pdf

島根の水産試験場が,アカムツの脂肪量を毎月測って調査したものです.

詳細は論文を読んでもらうとして,結論を簡単にまとめると

1.漁獲月によって脂ノリに差は殆ど無い
2.大きい個体ほど脂ノリがよい傾向にある
3.とはいえ,個体間格差も激しい
4.島根県以外,九州産のアカムツは脂肪含有量が少ない
5.身の白さと脂ノリは関係ない

と,こんなことがまとめられています.
つまり,アカムツの場合は脂が乗っているかどうかは季節ではなく,固体間の格差だということです.また,釣り物ではお腹が黒っぽいのは脂が乗って美味いなどといいますが,そういう外見的な要因でも脂ノリはわからないと論文では結論付けられています.

※近赤外分光などで脂肪量を非破壊で測定する技術があるようです.

で,ワタシ的に気になるのは4です.
九州産の釣りモノや延縄で漁獲されたアカムツの結果も比較対象として載っているのですが,他に比べてかなり脂肪含有量が少ないという結果になっています.

九州といえど,各地広いので,そういう場所もあるのかもしれません.

鹿児島のアカムツに関して言えば,脂ギトギトみたいなアカムツは少ないように思いますが,居るには居ます.多くは比較的あっさりした脂ノリでたくさん食べられる感じがします.

脂ノリだけが全てではないと思いますが,東京で食べたアカムツはめちゃくちゃ脂ノッてました.島根で食ったやつより全然上でしたね.
このあたりも固体間の格差なんだと思います.

一応,脂がノッたやつを食いたければ,できるだけ大きい個体をチョイスしたほうが,脂ノッてる確率が高いって感じでしょうか.

ということで,アカムツの脂がノル「旬」というのは特に無く,固体間の格差,地域差が大きいということで,何匹かだけ食べただけでアカムツの真価を測るのは時期尚早かと思います.

でわ.





2017年1月27日金曜日

【ロッド】東レの新素材ナノアロイって何?あれこれウンチク

ここ数年,とくにここ一年ぐらい,釣り業界において,東レのナノアロイという「新素材」の名前を釣業界界隈で耳にするようになりました.

出典:http://nanoalloy.toray/licence/lic_003.html

ナノアロイを開発した東レ社のHPにも特設ページが作られているほどです.
http://nanoalloy.toray/

ってもう私のブログ記事を読むまでもなく,上のサイトを見ればよいのでは?
はい,まったくその通りです.なので以下は適当に思ったことを書き殴ろうと思います.

ナノアロイ自体の技術としては10年ぐらい前に確立されていてウェブなどでも見たことがあったように思うのですが,商品化に至るまでそれだけ年月がかかるということなのでしょう.

しかし,釣業界で名前をきくようになったのはここ最近.
何故か?釣り竿の原料となるプリプレグ,これにナノアロイが応用された製品が開発されたのが最近だから.ということになります.

ナノアロイはポリマーのことであり,カーボン繊維のことではないです.

なので,ナノアロイの適応範囲は何も釣竿をはじめとしたカーボン繊維に限られることではないのです.
カーボンロッドは元となるプリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート上のもの※TORAY社のHP説明より引用)から作られます.
このプリプレグ中のマトリックス樹脂にナノアロイ技術を適応したプレプリグによって製造されるロッドをナノアロイを採用したロッドと呼ばれます.

素材の開発って難しそうですよね.
釣り竿の素材であれば,深刻な人命に関わるようなこともさほど起きませんが,カーボン繊維は今や航空機の胴体や翼にまで使われている構造用材料です.
飛行機が素材のせいで落ちたりしたら・・・相当深刻な問題になると思います.

ということで,10年という年月も致し方ないのかなと思います.

で,ナノアロイナノアロイ言ってるけど,ぶっちゃけなに?
って話ですが,HPによる定義としては
”複数のポリマーをナノメートルオーダーで混合したポリマーアロイ構造を形成させる技術.”とと書いてあります.

少しだけ専門的な話は以下のウェブページから見ることが出来ます.

ナノアロイ®による新素材の創出

そもそも,アロイというのは英語の綴りをAlloyと書き,「合金」という意味です.
超合金とかの「合金」ですが,この「合金」の定義は難しいところでありますが,基本的には原子レベルで混じり合った金属の様相を呈するものだと思います.混ざるものは金属でなくとも合金といいます.たとえば,みなさんの身近にある「鋼」シマノのHAGANEコンセプトの由来にもなっていますね.「鋼」とは本来,「鉄」という金属と「炭素」という非金属元素の合金です.
原子レベルでの混じり合いが合金だと言いましたが,共晶などはもうすこし大きいオーダーでの混じり合いとなります.

ちなみに,かなり大きなオーダーで異種材料を複合したような材料は「複合材料」といいます.FRPとかCFRPとか,鉄筋コンクリートとかそういう材料です.カーボンロッドも樹脂と炭素繊維の複合材料と言えます.

っと,話が逸れ過ぎました.
あくまでナノアロイというのはRマークが付いている通り,「商標」なので,ナノでもアロイでもなくても名前はつけることが出来ます.

で,もう一度,ナノアロイってぶっちゃけなに?って話です.
複数のポリマーをナノメートルオーダーで混合したポリマーアロイ構造を形成させる技術.と書きましたが,これを言い換えると,
ナノアロイは2種類以上の樹脂をナノオーダーで相分離させたポリマー:ポリマーの複合材料とも言えます.

そもそもなぜ2種類以上必要なのか?という話ですが,この考え方は複合材料と同じです.
たとえば,片方は非常に柔軟で耐衝撃性に優れる材料Aがあり,もう片方にものすごく強度はあるが,脆い材料Bがあるとします.Aは柔軟であるがゆえ,強度がなくて使えません,Bは強度があるが,耐衝撃性がなくて使えません.我々が欲しいのはAとBの中間の性質の材料だ!とします.
そこで,ならAとBを組み合わせちゃえばいいじゃん?
という考え方です.
もちろん,A+Bという材料と同じような特性をだせる単一の材料Cを開発するという方策もありなのですが,AとBがあるからそれを活かしましょう!ということだと思います.

で,ナノレベルオーダーで分散させたら何がいいの?って話ですが,結果だけ言えば,ナノレベルより大きいオーダーで分散させるより,耐衝撃性の向上や破壊強度の向上が挙げられます.
なぜこのような性質が発現するか?については,まだまだ研究段階であるように思います.
基本的にはゴロゴロとたとえばマイクロメートルオーダーで分散させた場合,どこかにかならず偏析やサイズの大きなものが存在していたりして,そういうところに応力が集中して破壊に至る,もしくは局所的な弱い部分が出来てしまうという可能性が高くなりますが,ナノメートルオーダーで分散されている場合にはある意味で物質が均一となるため,このようなことが起こるのだと予想されます.

で,この技術が採用されたロッド達が例えば以下のような製品

APIA
Foojin’AD(風神AD)
Foojin’BB(風神BB)

宇崎日新
ZEROSUM 磯 弾 V3

オリムピック
カラマレッティー プロトタイプ Due

がまかつ
がま磯 インテッサG-Ⅴ
LUXXE OLTRE

ClearBlue
Crystar-57

ダイワ
銀影競技メガトルク大鮎

メジャークラフト
NANOACE

ヤマガブランクス
Blue Current TZ NANO
Ripple Fisher "NANO" Series

FCL labo
UC10pro (最新バージョン
UCB81EXT MH (最新バージョン
など

パームス
メタルウィッチクエスト

シマノ
ポイズンアルティマ(グリップ部
オシアプラッガーフルスロットル

コレ以外にも現在では多数の製品があります!


プリプレグを変えるだけですから,新技術が必要なわけではないので,これからもどんどん増えると思います!

東レの現在のプリプレグラインナップは下記ページにあり,
http://www.torayca.com/lineup/product/pro_003_01.html

注目するとこは「樹脂」です.
これが#2573と#2574がナノアロイ樹脂になります.
2573は耐衝撃用,2574は高圧縮用なので,釣り竿としては基本的には2574が使われると思います.
上記URLを参照すると,2574が使われるプリプレグは今のところ1種類,T1100GCシリーズのみです.33トンカーボンですね.
周りの製品と見比べても,引張強度の高さが伺えます.

釣り竿製品までに加工した場合,従来の釣り竿とくらべて,同じマンドレルで焼いて約20%〜30%の強度向上があるとFCLの津留崎さんは述べられていました.

これから他のプリプレグにもナノアロイが使われていけば,幅広い弾性率でナノアロイが使用ができるようになり,色々なロッドが出てきそうですね.
※一部では既に幅広い範囲のトン数にてナノアロイを使用したプリプレグが出回っているという記事を見ましたが・・・真偽の程は私には分かりません.

カーボンロッドは面白いもので,トン数の高いカーボンを使えば,パキパキに仕上がる「傾向」にありますが,ただそれだけではないというような感じです.
一般的には弾性率の高い材料を使うと,それだけ体積が抑えられるので,軽く仕上がります.故にキャスティングにおいてはティップの収束がはやかったり,色々とメリットが生まれます.ロッドに関するウンチクはまた今度にでも.

工業製品において様々な技術ってあると思うんですが,素材の進歩は製品のパフォーマンスに直結するので,個人的には非常に重要だなと思っています.
これは竿だけではないです.例えば車だってボディは先に述べた鉄(鋼)で出来ています.革新的な材料ができれば車はもっと軽量化できるはずで,低燃費化や衝突安全性が確保されるはずです.

我々はどうしてもユーザーなので製品を作っている会社ばかりに目が行きがちですが,縁の下でさせてくれているような素材メーカーも応援したいなと思いました.

ま,あとはナノアロイってなんのことかイマイチ分かってなかったよって人が,あーいちおう,そういう代物なのね?と分かっていただければいいかなと思いました.

でわ.


2017年1月13日金曜日

マチ類の標識放流技術と放流再捕記録&資源評価

マチ類.


なかなか聞き慣れない言葉だと思います.
基本的にはフエダイ科に属する魚のうち,沖縄のほうの方言で〜マチと呼ばれる魚の類を指すと思っています.

代表格として

アカマチ
シューマチ
クルキンマチ
マーマチ

が挙げられます.

標準名では
アカマチ→ハマダイ
シューマチ→アオダイ
クルキンマチ→ヒメダイ
マーマチ→オオヒメ

となります.

それぞれ非常に美味な魚です.
なかなか鹿児島近海では釣れませんが,三島ぐらいの海域からこれらの魚が釣れ始めます.

これらのマチ類は漁獲量がかなり減っていることもあって,積極的に保護されて,資源回復計画が練られ,その生態についても研究されています.資源回復計画がうまく言っているかどうかと言われれば,クエスチョンなところもあるのしれません.というのも1つの種だけを増やすというのはなかなか海の中のバランス的には難しいと思うからです.エサとなるような小魚は旋網によって相変わらず大量に捕獲されているわけで,個人的にはエサの減少は直接漁獲以上に深刻なダメージを生態系に与えているのではないか?と思います.
このあたりについてはまだまだ勉強中で全くのシロウトですから,上記の考え方はあくまで考えているだけで根拠も証拠もありませんことご了承ください.
しかしまぁ,専門家がすべて正しいことを言うわけではないですからね,専門家がちゃんとしていれば,日本のクロマグロの資源は現在のように枯渇状態まで追い詰められなかったと思います.
クロマグロもマチ類と同じぐらい保護されればいいんでしょうけど,なかなかクロマグロの保護は進みませんね.

と,話は横道にそれてしまいましたが,マチ類の研究成果の中でもかなり気になったデータを示します.

マチ類の標識放流技術と放流再捕記録

http://kagoshima.suigi.jp/KenkyuHoukoku/21P-machi.pdf

こちらのデータではいわゆるタグアンドリリースをして,再び捕まえられたときの移動距離を示しています.
マチ類は基本的には曽根間を移動しないのでは?と考えられてきました.
しかし,このデータが示すのは,移動しうる個体も居るということです.
アオダイは最大で150kmも離れた別の曽根まで移動しています.また,オオヒメも93km移動した個体が捕まえられています.
これは非常に資源回復を測る上で,ポジティブな面もあるデータだと思います.
もし,曽根間で移動しないのであれば,一度曽根の資源を枯らしてしまうと,二度と戻ることは無いです.しかし,曽根間で移動するのであれば,かなり資源量が少なくなった曽根にも魚が移動してきて,再び資源が回復するということも考えられます.
だからといってもちろん捕り尽くしていいわけではありません.
再補時に半年〜1年以上経っている個体でも全く移動していない個体もいるのです.
なので,回遊性のある魚であるというわけではなく,移動する個体もいるということだと思います.
こういった情報を元に,資源回復の方策を色々と考える必要があるのだと思います.

では,少し古いデータではありますが,どの程度の資源量であると試算されているのかそのデータを示します.

平成24年度マチ類(奄美・沖縄・先島諸島)の資源評価

http://abchan.fra.go.jp/digests24/details/2443.pdf

平成26(2014)年度マチ類(奄美・沖縄・先島諸島)の資源評価

http://abchan.fra.go.jp/digests26/details/2643.pdf

マチ類に関しては非常に深刻な漁業資源状況となったため,平成22年まで資源回復計画がとられていました.
http://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/s_kouiki/nihonkai/pdf/n19-2-6-1.pdf
http://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/s_keikaku/pdf/matirui.pdf

通年禁漁であったところが開放され,値段の高い「ハマダイ」の集中漁獲が問題であるように思います.

資源評価としては
アオダイ→若干減少〜横ばい
ヒメダイ→横ばい
オオヒメ→横ばい
ハマダイ→一応増加

とハマダイのみ増加の評価にはなっているが,記事を読んでもらうと分かるように,求め方としては1航海あたりの漁獲量(CPUE)がある程度の資源評価の対象となっていることやコホート分析の前提条件が必ずしも合っているとはいい難い点にあります.

ということで,真の評価は難しいんじゃないかと思います.
また,興味深いのは耳石年輪の輪紋解析による年齢の推定です.
樹木で言うところの年輪解析みたいなものです.

これによると,ヒメダイのメスのみ18歳が寿命とされていますが,その他の魚は25歳以上生きるとされています.ハマダイについては35歳ほど寿命があるという話も.
これらはあくまで推定ですので,色々と今後議論の余地はあると思います.

また,成熟についてですが,
アオダイは6歳でほぼ成熟,早い個体は2歳から
ヒメダイは0歳でも40%成熟し,4歳でほぼすべての個体が成熟
オオヒメは1歳から成熟始まり,2歳で40%成熟,5歳でほぼ成熟
ハマダイは8歳以上から成熟個体が現れ,19歳以上でほぼ成熟ということ.

つまり,ハマダイは成熟が遅く,小さい個体をとりすぎるとかなり危険な状況になりそうだということです.

マチ類については今も保護区や周年禁漁区は存在していますが,特に産卵期の漁獲は深刻であると思われるので,せめてその間は全面禁漁としてもよいのではないか?と思います.
引用文献には一時的な管理方策にならないように1操業あたりの漁獲制限を設けるなどの措置も検討すべきとして締められています.

鹿児島以南と東京の諸島群以外の方はあまり聞き慣れないマチ類ですが,非常に美味な魚です.守っていけたらいいなと思います.

また,その他の魚種の資源評価結果についてはこういうページで見ることも出来ます.
http://abchan.fra.go.jp/digests27/

1つの魚種の資源だけを回復させるということは生態系上難しいと思いますので,もっともっと幅広い視点も必要なのかなと思います.
 下のマイワシの漁獲グラフなんか見ると,本当にゾッとしますよ.


引用:http://abchan.fra.go.jp/digests27/details/2702.pdf


それでわ.










2016年5月18日水曜日

【悲しい事実?】神奈川の陸釣りによる漁獲量まとめ

どうもです.


釣り人の漁獲量シリーズ.第三弾.

これまで京都と静岡の遊漁船の釣獲量の試算に関する記事をご紹介しました.

いずれでも遊漁船,ボート釣りの話でした.
でも,一番釣り人口が多いのって,言わず物が「陸っぱり」いわゆる「陸からの釣り」
ですよね?

陸からの釣りでどれぐらいの魚が漁獲(釣獲)されているのか?
という試算はあるのかなぁと思って調べていたら,これまたありました.

神奈川県のケースです.
なかなかこれも興味深い,かつちょっと闇が深い.

まずはソースを示します.
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/pdf/SUIGIKN/suigiken4-03.pdf

神奈川県水産技術センターの2010年報告書です.
http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/top.asp

詳しくは参照元を御覧ください.

陸釣りの釣獲量を推定するのは並の調査では不可能です!
今回は1万人を超える人からの聞き取り調査を行っていますが,魚種が豊富なことと,聞き取り場所も限らているため,各魚種において釣獲量を推定することは困難であるし,上記の推定が間違いなく合っている!という補償はどこにもありません.

が,こういう試みは大切だと思いますし,聞き取り調査の結果は事実であります.
そこからある程度見えてくる事象もあるのかなと.

例えば,結果考察にかかれてある,以下の点,これが非常に私は印象的的でした.

・アンケートの結果,数として一番釣れた魚種はマアジ(納得),対がはぜ類(まぁ納得),ついでメジナ(マジカ!)って感じです.
メジナもコッパなんかはどこにでもいますし,サビキでも釣れるからしょうが無いのかなぁと.

・タチウオの釣獲重量がなかなか大きい・・・1トンほど.

・マダイの釣獲は10cm以下が70%を占め,なおかつ,稚魚放流直後の9月〜11月によく釣れていることから,放流したマダイが釣られてしまっている・・・・.
これはなかなか悲しい事実ですね〜.放流するにしても色々と問題はあるなぁと.

・スズキなどはナイトでよく釣れるため,アンケートの結果から推測するのは難しいだろう.

たしかにファミリーフィッシングなどではチャリコも立派なターゲットになってしまいますし,仕方ない部分もあるのかなぁとは思いますが,できるだけ小さい魚は傷つかないように釣って,逃がしてあげるような文化が生まれると良いですね.

ということで,この報告もあくまで一報告に過ぎず,アンケートの結果についてもこういうアンケートをこういう時期に来れぐらいの人数に行ったらこういう回答が得られたということをちゃんと認識して読むことが大事だと思います.

いずれにしても資源管理うんぬん言うのであれば釣りと釣獲量の把握というは必須なことですので,こういった調査ももっともっと調べて行きたいなと思いました.

最終的にはこういった調査の結果,資源管理モデルなどを提唱できると良いのですが.まぁ,私の知識ではそこまではできませんね(笑.

今回も資料の紹介になりましたが,興味深い資料だったので紹介しました.

※私はただ紹介しているだけで,私がすごいことは一切ないです.

でわ.


2016年1月22日金曜日

遊漁船・プレジャーボートの漁獲量 Part.2 静岡のケース

またまた驚きの結果.

以前,京都の遊漁船の真鯛の釣獲量についての紹介記事を書きました.

気ままに釣行記: 【驚きの結果】遊漁船による漁獲量(釣獲量)(京都のケース)

なかなかショッキング?な結果だった人も多かったかと思います.
こういう調査って他の地域でもされていないの?
と思って調べるとアリました.

静岡のケース

マダイ遊漁に関するアンケート調査

http://fish-exp.pref.shizuoka.jp/izu/0006/328/328-03.pdf

マダイ遊漁に関するアンケート調査その2

http://fish-exp.pref.shizuoka.jp/izu/0006/329/329-4.pdf 


こちらです.
上は遊漁船への調査,その2はプレジャーボートへのアンケート.

詳細は上の2種調査を見ていただければと思います.

簡単に中身をご紹介します.

アンケート配布数:674枚
回答率: 41.4%

となかなかの回答率.

結果:
遊漁船の漁獲量推定:194トン
漁業によるマダイの漁獲量:99トン

とまぁ,遊漁2:漁師1という京都とだいたい同じような結果ですね.
2地域で大体同じような推定が出てしまうということは少しだけ一般論に近づいたような気もします.

まぁ,それでもあくまでアンケートに基づく推定であって,遊漁船の漁獲量を正確に推し量ることはできはしないのですが,仮に推定量を半分と見積もっても漁師と同等ということになります.

やはりこうやって見ると,遊漁船というものが資源へ与える影響というものは少なからずあると言わざるをえないのかなぁと.

※釣り客人数年間1000人以上の釣り船,意外と少ないなぁと思いました.

次にその2のレポート

回答数:165名
結果:1隻のプレジャーボートのマダイの年間漁獲量平均は13kg.
まぁ,プレジャーボートは何回も海に出られませんから,こんなもんかもしれませんね.
これはかなり地域差がありそうです.
もちろん,これは静岡のケースなので,マダイが専門のプレジャーボートも少ないでしょうし.一応アンケート結果ではマダイは全体の5%ほど.
静岡のプレジャーボートではアジ釣り,タチウオ釣りが人気のようです.
このあたり地域性ですね.

マダイの資源管理についてですが,やはり小型はなるべく釣らない,掛けない,できればリリースをするということが1つ.

あとは放流を行うというものがあります.魚の稚魚というものは1歳まで生き残る確率がものすごく低いと思います.ある程度大きくしてから放流するというのはアリだと思います.

静岡は年間100万匹を目標に放流しているようです.
このページには400トン遊漁船が獲っていると書いてありますが・・・.
 https://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-430/madaikyo.html

もし100万匹が全部1kgに育ってくれたら・・・(そんなことはないのですが)
1000トンになります.それだけで漁師の漁獲高の10年分ですね(笑.

こういう県が漁業者・遊漁者に呼びかけるのではなく,漁業者,遊漁者が積極的に行動を起こしていきたいですよね.

遊漁船1回あたり1人100円ぐらいの寄付金を徴収するとか.
一人1回100円集められたら相当な金額が集まると思うんですけどね.
こういうのを漁業組合が主導してくれてやってくれたいいんですが・・・・.

釣具屋の隅っこにも募金箱が置いてあったりしますが,もう少しアピールしてもいいですよね.

難しいですね〜.
でわ.




2016年1月20日水曜日

黒潮や水温は予測できるか?:水産総合研究センター

これまで色々なデータを提供するサイトを紹介してきました.

例えば・・・

気象庁の海面水温や潮流
http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/db/kaikyo/daily/sst_HQ.html

鹿児島県水産技術開発センター
http://kagoshima.suigi.jp/

GPV気象予報
http://weather-gpv.info/

JTWC
http://www.usno.navy.mil/JTWC/

など・・・.

GPVやJTWCは予報ですが,海面水温や潮流といってものはあくまで観測値.
これはこれで非常に有益な情報ではあるのですが,

やっぱり「予測値」が欲しい.

例えば,今年はかなり水温が下がりにくくなっているが,今後の水温予想はどうだ?
とか.鹿児島南部は黒潮の影響をモロに受けるので,今後の黒潮はどうなっていくのか?とか.

黒潮については海上保安庁が推測図などを出したりはしています.
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/

他にも”データマニア”的には色々と垂涎モノの情報も・・・・.

結局これらをすべて掌握して,データ解析できたとして,次に釣れるとき,釣れる場所,釣れる海域などが予想できるか?と言われれば,それは可能かもしれないし,不可能かもしれない.もちろんこのようなデータだけでは読むことが出来ないローカルな情報も重要ですし,何より毎日足を海に向けるということが大事なんだとは思います.

だがしかし,私のように海の仕事をしていない人間にはそれは不可能!(毎日海に出て海況を見るみたいなこと)

少しでも海に思いを馳せたい.

そういう時にこういうデータとにらめっこしながら,釣り船の釣果情報や実際に海に出ている人の話を聞いたりするのは楽しみの一つです.(私だけかもしれませんが.

で,タイトルに戻ります.黒潮や水温を予測しているサイトって他にないの???
と.(一部海上保安庁が予想しているものはありますが,ローカルな潮流に関しては基本外れます)

調べてみたら・・・実はありました.
発見したのは去年の暮のことですが....
何故今まで知らなかったし!!!

と思うところにありました.
こういうツールって使われてなんぼなところもあるんですが,なかなかコマーシャルが足りないんでしょうね.コマーシャルする費用まで予算がつかないんでしょう.

ということで紹介します.

水産総合研究センター
 https://www.fra.affrc.go.jp/
のFRA-ROMSシステム
 http://fm.dc.affrc.go.jp/fra-roms/index.html

2012年の5月から運用されています.
なんとこのFRA-ROMSシステム

2ヶ月先の予測までを公開!

しています・・・・

まぁ,それが当たるか外れるかは今は問題ではなく,こういう試み自体が素晴らしい.
ちなみに,予測項目は以下のとおり

・水温

・塩分濃度

・流動

・海面高度


以上です.
また,このシステムの本当に素晴らしいところは・・・.

水深方向のデータを提供していることにあります.
基本的に,釣りで重要視するデータは水温と潮流だと思いますが,

水温に関しても,潮流に関しても
0m,10m,30m,50m,75m,100m,200m
とそれぞれの層における水温,潮流予想 どちらも公開しています.
これはかなり革命的ですよ.(私だけ?
これらを駆使すれば,どの海域のどの深さのどのポイントで釣りが成立するかを読めるようになるような気がします.

あと,さらに何が使いやすいかって,「アニメーション」表示もできるんです.
動的に見られるとまた違ってきます.

そういえば,前にも紹介した,カツオ一本釣り水揚げ日本一を複数回記録する鬼才,明神学武さんがにらめっこしていたデータのコンターにすごく似ています・・・
http://www.nhk.or.jp/professional/2015/1123/
このデータだという確証はありませんが.

あんまり湾内や平水域で釣りをしているとそれほど役に立つデータではないのかもしれませんが,鹿児島だったら宇治,草垣,三島,屋久島,トカラ,奄美あたりの外洋ならきっと役に立つデータのはずです.

※データに翻弄されてはダメなんですが,使いこなせば武器になるかと.実際海に出ると,数キロ走れば流れの向きが違う・・なんてことはよくある話なので,完全に潮向きが読める!というわけではもちろん無いのですが,そういったローカルな情報もコミコミで考えながら,釣りを組み立てるのも面白いと思うのです.
例えば,もし鹿児島の佐多岬で釣れる時間,釣れる日を当てなさいと言われたら,少なくとも沖縄〜東京ぐらいまでの海域の全データが必要になってくるだろうというような感じです.

まぁ,結果使ってみて,使えないデータだったね.ということになる可能性もあるのですが.

私も外洋に釣行するときは予測値を見たりしてどうなっているか?予測を立てながら臨みたいと思います.

これで一つ楽しみが増えました(笑.

でわ!


2016年1月19日火曜日

カンパチの生態を考える:生殖行動のトリガー

カンパチ.
私が今,最も追いかけている魚の一つです.

釣りたいのもありますが,この魚について色々と「知りたい」
という気持ちもあります.

色々と調べていくと面白いものです.

今から10年ぐらい前でしょうか?
今が平成28年ですから,平成18年,「カンパチ21」というプロジェクトが発足しました.

この経緯について,簡単に説明しておくと,
カンパチの養殖のための幼魚というものの殆どは「中国産」です.
しかし,この中国産のカンパチ養殖種苗が「アニサキス」に感染しているという事件が・・・.普通,カンパチにアニサキスは感染しないのですが・・・.やはり中国クオリティ・・・・.

ということで,やっぱり日本で人工種苗を作って,安全性を確保せにゃならんね!

となったわけです・・・・(ものすごく端折っているので,もっと知りたい方は調べてみるのもありです)

カンパチ養殖についてあまり知らない方は,え?中国産のカンパチだったの?などと驚かれているかもしれません.

で,問題と鳴ったのは生殖行動のトリガー.
人工種苗とはいっても,卵子も精子もゼロからは作れません.
これらはカンパチくんに生産して貰う必要があります.

私がこの生殖行動のトリガーに興味を持ったのはやはり産卵前の「荒食い」について.
これ,色々な船長に話を聞くと,なかなか一貫した答えが返ってこない.
当然,海域によって産卵時期は異なるのですが,カンパチのシーズンは?
という問いに関しても結構バラバラです.

正直,一年中狙えるというのがカンパチという魚だと思います(笑.

で,皆さん,カンパチ生殖行動開始のトリガーは何だと思いますか?

答えは:日照時間.

私は結構以外でした.普通に考えるなら「水温」なんかだと思うじゃないですか?
違うんですね.カンパチが生殖行動(生殖のための器官が発達を開始する)のは冬至が境になっているそうです.つまり日が長くなり始めると開始する.

もちろん,各器官が本格的に発達しはじめるには水温上昇も必要なのですが,まずは産卵しよう!という気になっていなければ話になりませんよね.

つまり・・・カンパチはいまからの時期,いつのっこみの荒食いを起こし始めてもおかしくないわけです.

この生殖行動に入るトリガーというものは擬似的に日照時間を短くしたり長くしたりする実験(つまり,水槽内をわざと暗くしたりする)でも確かめられています.

こうして考えると,南の方,八重山とか沖縄とか・・は12月〜5月ぐらいまでがカンパチのピークといっているのも日照時間とも関係してるのかもしれません.
また,こちらでも1月からがカンパチシーズンだ!といっている釣り船はあります.何故12月からではないのか?こちらは12月ではカンパチが釣れるぐらいには十分に水温が下がっていますが?こういうのも冬至を過ぎてから生殖行動が本格化するから・・・などと安易に考えてはいけませんが,関係はしていそうな気がします.

まぁ,今回はそういう話題でした.
 
これらの情報は以下のファイルを基に作成致しました.
私の読み間違い等ある可能性もありますので,気になった方は一次ソースでご確認を!
https://www.fra.affrc.go.jp/topics/210722/youshi01.pdf


2015年12月25日金曜日

キジハタの年齢と大きさ:資源管理のあり方について

どうもです.
Merry Christmas.
クリスマスですね.
昨日はスケジュールをミスっていて投稿できていなかったようです・・・.

さて,世の中はクリスマスなわけですが,私のブログは普段通りです.

今日とりあげるのは「キジハタ」です.

関西方面〜中国地方?では「アコウ」とも呼ばれており,テレビなどでもこの名前を聞いたことはあります.
分類的には顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科ハタ族マハタ属に属します.
長いよ・・・.

つまり,「マハタ属」ですね.
マハタ属の中ではキジハタは中型からやや大型に分類されます,
食味の良さから高級魚として扱われています.
末端価格でキロ3000円〜6000円といったところでしょうか?
浜値では時期にもよりますが1000円〜1500円,MAXでも2000円ぐらいだと思います.

釣り物としても人気で,小型のサイズであれば,堤防や小磯からでも狙うことができます.
大きいサイズはやっぱりオフショアで上がることが多いですね.

個人的にオオモンハタは50UPがちょいちょい釣れるけど,キジハタの50UPはなかなか釣れないなぁと思っています.
そこで,疑問が・・・.

キジハタって何歳でどれぐらいの大きさになるんだろう?

よく,「根魚は成長が遅いから」ということが言われていますが,もちろんそれは種類によっても違うと思います.
キジハタについては今から20年〜30年前によく研究されたようで,論文がいくつか見つかりました.
その中の一つ.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aquaculturesci1953/42/3/42_3_419/_article/-char/ja/

陸上水槽中での飼育なので,個人的には海中より多少発育が制限されるように思いますが,この論文によると,平均的には
1歳で14.5cm
2歳で21.7cm
3歳で29.3cm
4歳で雄が32.6cm 雌が31cm
5歳で雄が34.5cm 雌が32.4cm

とのことです.
あくまで平均値ですので,これより大きい魚も居ます.
5歳で40cmを超える魚もいることはグラフからもわかります.

さらに図4には10歳までの成長曲線が過去の論文とともに示されています.
この論文中の結果は,たいだい,10年で平均値が40cmを超えてくるような感じですね.
5歳で40cmを超える魚もいるので,このあたりは個体差ということでしょう.

また,あまり知られていないかもしれませんが,マハタ属の多くは雌性先熟(しせいせんじゅく)です.
これは小さいうちは雌として繁殖を行い,大きくなったら雄に性転換して縄張りを持つことで他魚を排し,効率よく子孫を残すというシステムです.
真鯛もこれに当てはまりますので,大型の真鯛は99%雄です.

論文中でも5歳までに性転換する個体は居て,それにより雌の個体数が減少すると書かれてあります.
つまり,子を産む個体は比較的小さなキジハタであると言えます.
5歳魚(雌は平均32.4cm)程度までは雌の個体もまぁまぁ居ます.

よって,小さいキジハタを釣って持って帰るということは相当な痛手となるわけです.
たまに,「大きい個体を持って帰るというのは大きくなる遺伝子を残せないからダメ」という人も居ますが,言いたいことはわかりますが,大型のキジハタ(40cmオーバー)は10中8.9はオスですので,卵は産みません.したがって,卵を生む個体を持って帰るよりは自然に対するダメージは少ないのではないか?と推察します.もちろん40オーバーならいくらでも持って帰っていいよ!減らないよ!と言っているわけではありません.

個人的に考えるキジハタの資源管理のあり方について考えてみると
・小さい個体は卵を生むから基本的にはかけない,釣らない,持ち帰らない
・キープするなら大型の個体を食べられるだけ


といった感じになろうかと思います.

キジハタは20mぐらいでかけると,リリースできますが,60mラインぐらいまでは平気で釣れます.
35m以上深いところで釣れたキジハタのリリースは浮袋が膨張して(急な水圧変化に適応できないため)リリーサーなしには行えないと思います.
そう考えると,今後リリーサーも積んでおこうかな?なんて考えますね.
幸いなことにキジハタ狙いのなんちゃってスローはあんまり小型のキジハタがかからないので,なんとかなっていますが・・・.それでもたまに釣れちゃいますからね.難しいところです.

また,実際,キジハタは減っているのか?増えているのか?と言われるとそれについてのデータはないのでなんともいえませんが,根こそぎ獲り続けて持続的に増えられる魚種は居ないと思います.マグロしかりマイワシしかり・・・.

誰も人の釣果や釣りに対する考え方に干渉は出来ないと思います.
私は私の考え方を述べているだけに過ぎませんので,どうかあまり批判的に捉えないようにしていただければ幸いです.

最後に,小型のキジハタの「釣り禁止」にしている山口県について紹介します.
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a16500/kijihata/20130517001.html

2013年ごろに一部で話題になりました.
山口県が30cm未満のキジハタの採捕を禁止へ!
というものです.

http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/press/201510/032267.html

現在もこの試みは続いているようです.

個人的には良いことだと思います.
隣県や九州にも広がって,その効果を見てみたいものです.

しかし,これで30cm未満を釣るな!というのも難しい話です.
大型だけを狙えるようなテクニックや技術の紹介というのも釣り業界の今後の課題なのかもしれませんね.

でわ.