2017年3月27日月曜日

サンライン PEジガーULT インプレ

PEジガーULT,サンラインから近年発売されたラインです.



4本撚りと8本撚りがあります.
※画像は4本撚りの1200m巻です

私の使い分けとしては4本撚りをベイト,8本撚りをスピニングに使っていて,だいぶその特性も分かった(気がしている)のでインプレッションを書きたいと思います.

ずばり,使えるラインか使えないラインか?という話をすれば,私の出した結論は「使える」です.
ですが,トータル的なタックルバランスを崩壊させるちょっと危険な一面もあります・・・.トータル的な「感度」の話をすれば,ULTの4本撚りより高感度なラインは今は無いと思います.

あまりの感度の良さに「魚のサイズがわからない」との声もあります.
(実際私もULT初卸でかけた6kg程度のヒレナガは10kgクラスかと思いました・・・

また,さらに感度の良さに起因する間違いとして「魚が不用意に暴れる気がする」や「ほぼ伸びないため切れやすい」などの誤解を生むところもあるように思います.
感度が良すぎて竿や体にダイレクトに魚の引きが伝わっているだけで,実際他のラインでも水中では魚はほぼ同じ動きをしていると思います.
情報量の多さを人間が処理できていないだけのように私には思います.
数回使っただけではこのラインの本質は見えてきませんし,前回の釣行と変えたところがラインだけだからラインのせいだ,そうラインが悪い!と決めつけるのは焦燥です.そういう意味でトータル的なタックルバランスを崩壊させる危険性のあるレベルのラインだと思いました.

このラインの特性は低伸度である!と謳われることが多いと思いますが,このラインの一番の「魅力」はそこではないと個人的には考えています.

私の考えるこのラインの一番の魅力.それはライン平行方向に対する水切れの良さです.
特にPEジガーULTの4本撚りの水切れのよさは他のラインのどれよりも素晴らしいと思っています.

あんまり皆さんは水の粘性「Viscosity」について考えることは無いかもしれませんが,水というのは粘性をもった流体です.この粘性を持った流体中を物体が移動しようとすると,粘性抵抗が生じます.つまり,動きにくくなるわけです.
空気にだって粘性はあります.かなりサラサラしてますが・・・粘性があるが故,空気中を動く物体には抵抗が働きます.空気の場合は空気抵抗という言葉も使われます.
このように,粘性のある流体中を物体が移動すると抵抗(運動方向と反対向きの力)がかかるわけですが,この抵抗値がPEジガーULTは他よりも小さいのです.

ハッキリとした数値データでお示しすることはできませんが,この抵抗値を間接的に知る方法としてジギングにおけるジグの着底時間があります.
たとえばPEジガーULT,スーパーファイヤーライン,他のPEラインすべての号数を揃え,ライン以外は同じタックルで落とします.PEジガーULTが一番速く着底できるはずです.(是非お試しください)

ということで,糸を引っ張る方向の抵抗が減少することによって,より低伸度を感じます.
もともとが低伸度なので,より伸びないラインのように感じます.このことが原因で全く伸びないラインである.と勘違いしてしまう人も居るように思います.
しかし,ちゃんと伸びるラインです.試しに陸上で30mほど引っ張り出して引っ張ってみて下さい.
人気のない広い場所でお試しください.
ちゃんと普通に伸びます.

一部のエキスパートたちはULTの4本撚りは高感度過ぎてカンパチには向かない.
とおっしゃる方もいらっしゃいますが,このラインじゃなければできないことがありますので,私はカンパチ釣りでも選択肢としてはアリだと考えています.
たとえ100m前後の浅場であってもジグをうねりあり,二枚潮ありのような厳しい状況で動かすことは難しいです.
そういうときこそこのラインの出番かなと思います.

ということで,超高感度ラインが欲しい方にはピッタリのラインだと思います.
積極的にジグをコントロールして魚をかけにいきたい人向きです.
ジグの性能に頼り,ファイトもラインの伸縮率に頼る.そんな人ではなく,積極的に腕で勝負したい人向けとも言えます.

ただ,デメリットをあげるとすれば,粘性抵抗値が小さいため,他のラインより魚が疲れにくいです.
抵抗値が小さい故,魚の引きが強く感じます.(これが魚のサイズがわからなくなる原因かと思っています)

で,最後に,

伸びなさすぎて嫌いな人への一応の対策方法.


・リーダーを工夫しましょう
リーダーに使うフロロカーボンはPEとは比較にならないほどよく伸びます.
また同じ力に対しては線径の細いほうが太い方よりよく伸びますので,号数と長さを工夫しましょう.
私の場合,ULTを使う場合においては4ヒロ(8m〜10m)ほどリーダーを取るようにしています.
ショートのときは3ヒロです.
※あくまで私の場合の話です.これがイイとは思っていません.

・竿をちゃんと使いましょう&使う竿を考えましょう
ベイトリールでのファイトの場合,ストレートポンピングを多用するかたもいらっしゃいますが,竿はジグを動かすだけの存在ではなく,むしろやり取りをサポートしてくれるクッションとして使えることを意識するべきかと思います.

・PEジガーULTの8本撚りにする
8本撚りのほうがもう少し伸びますから,本当に伸びが欲しい人は8本撚りにするのも◯だと思います.

浅場での使用(150m以浅)での使用に不満を持たれる方もいらっしゃると思いますが,フォールが速いので1番手号数を上げ,ドラグ値を数キロアップで使うという手もあります.もちろん,リーダーはトータルとして適切な伸縮率になるように設定する必要があります.
リーダーの長さでかなり伸度は変えられるので,全部このラインでもいいかなと思っているぐらいですが,そこは4本と8本,普通のPEやファイヤーライン,それぞれにいいところはアリますから,これが何が何でもいい!と決めつけず,これからもいろんなラインを使っていきたいと思います.
なので,今,私が使っているリールにまかれているラインは
よつあみのX8,ジガーULTの4本,8本,スーパーファイヤーライン,シマノのMX4です.



総評

このライン(特に4本撚り)以上の高感度ラインは私が使用したことのあるラインの中にはありません.
どれぐらい高感度かというと,他のラインとは一線を画すラインであるため,トータル的なタックルバランスの見直しを必要とするレベルです.
高感度は低伸度だけでなく,粘性抵抗の低さでも決定されるということ.
それをしてなおメリットのあるラインであると私は判断しました.
ジグを意識して厳しい状況でも動かすということに関してはこのラインに右に出るラインはないでしょう.

PEジガーULTを数回使っただけでダメだと決めつけている方,もう一度見直してみませんか?

このラインならアカムツを3号でやるのも容易いかなと思っています.
不意の大物対策もできますしね・・・.

3号でやるアカムツ釣り自体に趣があるのかと言われればかなりQuestionですが・・・.

カンパチやるなら3号4号が良いと思います.
2.5号は巻いて使ってみましたが,強度は申し分ないですが,如何せん魚が疲れません.
2.5号使うなら250mオーバーかなぁと.

カヤックのタックルはたんまりとシマノのパワープロ1200mの手持ちがあるので,それを使い終わってから導入していきたいなと思っています.

さいごにこれだけいいたいのは,製品の善し悪しというのはトータル的なタックルバランスで決まってきますから,ライン単体だけの評価にあまり意味は無いと思います.
低伸度,高感度,低粘性抵抗は薬にもなれば毒にもなります. 

使ったことない人は是非使ってみられると面白いと思います.

 でわ.







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